遠州伊勢志摩の旅

 4月上旬、信濃千曲川通信社の長かった冬季休眠期間も明けてようやくお出かけシーズンが開幕した。4月上旬と言えばまだ朝晩寒い時期なのだが今年は異常気象でとても暖かくこれなら場所を選べば車中泊もOKとの判断が下された。
 今回いろいろ吟味の上選択されたのが「遠州&伊勢志摩の旅」である。遠州と伊勢志摩は地理的には少し離れているのだが伊良湖岬フェリーを使うとすぐ隣り合わせの土地なのだ。

 4月7日午後、週間天気予報によりこの先1週間の好天が予想される中、ちび子の保育園からの帰宅を待ってしなちく1号は出発した。姨捨スマートICより中央道を名古屋方面へと進む。今夜はパーキングエリアで車中泊なのでETC深夜割引も適用されて静岡県東名掛川ICまでの高速料金は半額だ。ちなみに帰路は日曜日なので例のどこまで行っても1000円が適用される。ETCがついているおかげで便利でお得になった。まんまと国策にハマったような感じなのだがまあ許すとする。
 今夜のお宿は愛知県の「せと赤津PA」と決まっている。去年の夏も泊まったところで高速道路のPAとしては静かで寝心地が良いのだ。途中のSAで夕食後21時頃到着。近所に停まっていた牛を載せた「ドナドナ」状態のトラックが気になってあまり気持ちが良くないのだが、ベッドメーキングを済ませたらペプシNEXでまずは乾杯なのだ。しなちく家ではなぜか車中泊最初の夜は楽しい旅と前途の安全を祈念して車内でコーラで乾杯するのが恒例となってしまっているのだ。
 朝晩寒いので到着後寝る前の約40分と出発前の1時間強はアイドリングを残して車内を暖房する。省エネという観点からいうとあまりよろしいことではないようで世の中には「FFヒーター」なるエンジンOFFの状態でも燃料のガソリンを使い車内を温める省エネ型暖房装置が販売されていてキャンピングカーなどには装着されており、しなちく1号に於いてもオプション設定されていたのだが駆動用の予備バッテリーも含めてお値段が26万円ほどになってしまうので取付を断念したのだった。
 実際にはしなちく1号のエンジンは660ccなのでアイドリングに使う燃料も極少量でありいくらFFヒーターが好燃費だといってもその差はさほど大きくなく就寝起床時のわずか2時間程度のアイドリングであれば26万円もの金額差を相殺することは到底不可能なのだ。

 翌8日、かなりだらだらとした後9時近くになってようやくせと赤津PAを出発した。目的地の掛川ICに10時過ぎに到着した後すぐ至近の掛川花鳥園へと行く。この旅行の直前になって他人のブログを読んでいて知った所で、大きな温室の中にインコやオウムが放し飼いになっていて、それらがみんな馴れていて手渡しで餌を食べたりする・・・といったようなところなのだ。行ってみると予想以上に大きな温室で中はジャングルを模しているようでたくさんの鳥たちがお腹を空かしていた。また野外ではエミューやペンギンもいてこれらもまた基本的にふれあいOKなのだ。お値段も1000円程度とこの手の施設としてはリーズナブルでしかも幼児無料、エサを購入(このへんで少し商売)して手に載せてやるとたくさんの小鳥がやってきてとても楽しい。かなりお薦めの施設なのだがちび子は終始不機嫌なのだ。基本的に動物好きのちび子には喜んでもらえると思ったのだが何が気に入らないのか不機嫌で態度が悪く、こちらまでも不愉快になりマジぶっとばしてやろうかと思ったほどなのである。
 理由は今朝のやりとりにあったのだ。「今日はどこ行くの?」 「SLの見える温泉」 といったやりとりがあったのだ。この後行く予定であった川根温泉をちび子に行き先として告げたところそれをたいそう楽しみにして「早く行きたくてしょうがない」状態になってしまったわけなのだ。だから「温泉まだ?」「温泉まだ?」と繰り返してふてくされているのだ。それと昼も近づき空腹になってきていたのとの相乗効果によって不機嫌となっていたのだ。ちなみにしな子も空腹になると露骨に不機嫌になる性質がありさすが親子である。
 グダグダ言うちび子に鞭を入れながらも12時頃退園した。今後一切ちび子には先々の予定を言わないことにした。教えてやるのは次に行くところだけ。しかも直前になって。
 お昼は面倒だったので近所にあったマクドナルド。今回の旅行の課題の1つに食費を安く抑えるというのがあった。旅行に行ったら多少値が張ってもおいしいものを食べたいという気持ちはある。だから美味そうなものや店は事前に調べておいてそこへ行く。それ以外のところでは無理して散財しない。旅行に行って夜ご飯「ガスト」っていうのもどうよ?と思うかもしれないがOKなのである。旅行だからといって肩肘張らずにファーストフードもラーメンもファミレスもありなのである。それでも親子3人で1日外食すると5000円くらいはかかってしまうのだ。通常の我が家の一日の食費は1500円以下に納まっているという(しな子談)それと比べたら超贅沢なのである。また綺麗な海辺などで食べればコンビニ弁当などでもうまいのである。
 というわけで言い訳が長くなってしまったがマックでランチなのである。それでもちび子がエビフィレオなんぞを2個も食うから総額で1500円を超えた。マックで1500円は使いすぎである。
 川根温泉は大井川の中流にあり、露天風呂などからすぐ近くの鉄橋を渡る大井川鉄道のSLを見ることが出来るということでも有名な温泉施設だ。そこでSLを見よう。そして明日はSLに乗ってしまおうという魂胆なのだ。
 掛川からは1時間強の距離。前述の理由により明日のSLの予約を取るために途中で新金谷駅に立ち寄る。SL列車の座席は昔ながらの向かい合わせ4人掛け座席。いわゆるボックス席だ。ちび子は幼児なので無料であるが大人2人だと向かい側席にも客が乗って窮屈な上に気を遣う(ちび子おとなしく乗っていないから)、ちび子の分も小人料金で席を取ればボックス3名で1ボックス占領できる可能性が高いということでちび子の分も席を取ろうと決めていたのだ。こういうところではケチらないのだ。
 窓口に行き明日の予約状況を聞くと「たくさん空いている」とのことでまだ200席以上も空いているらしいのだ。これなら大丈夫だろうとケチらない予定は急遽変更され購入した乗車券は大人2名のみとなった。
 大井川鉄道では平日も含めほぼ毎日SL列車が運行されている。だからシーズンオフの平日はバスツアーの団体客などを除いてはあまり人が乗らないようなのである。去年の秋に長野でSL列車が3日間運転されたときは1日2往復の列車の座席が1ヶ月前の発売日に発売数秒ですべて売り切れてしまったのである。しかしこちらはこの有り様である。結局希少性があるから乗る、なければ乗らないというのが世の実状なのだろう。
 だが長野で運転されたSL列車は機関車こそかの有名なデゴイチであったがエアコン完備の客車が牽引され、しかも後ろにはディーゼル機関車が連結されるという過保護でインチキ臭いSL列車なのだ。そう言いつつも席が取れずに乗れなかったひがみも込められているのだ。
 その点、大井川鉄道の SL列車は昔ながらの古い客車を牽引した趣のある列車なのだ。現在旧型客車が毎日運転されているのはここくらいだ。
 席の確保を済ませると川根温泉へと進む。温泉施設としてはまあ並であり、大井川鉄道の笹間度駅と道の駅に併設されていてSLが見えるというのがウリであり、ゆえに平日だというのに賑わっているのだろう。ちび子は喜んでいたが(喜ばなかったら殺す)この手の施設は今や全国的にあり、地元長野にも多数あるのでとりたてて感激したりはしなかったが鉄橋を渡るSLはしっかりと拝ませていただいた。タイから帰国したC56に牽引された客車7両と後ろに電気機関車の補機が1両であった。客車7両は小型のC56にはちと荷が重かったのだろう。また客車7両というのはたぶん大口の団体でも入っていたのだろう。この時期は新金谷駅から途中の家山駅までの乗車(あるいはその逆)で家山周辺の桜見物とセットでのツアーが多数催行されているようなのである。「大井川鉄道SLと家山桜鑑賞の旅」ってかんじ。
 昨日は入浴省略となってしまったので2日ぶりの入浴ですっきりした後は大井川の河原でお湯を沸かしてお茶を入れポットに詰める。車で出かけるときはいつも500ccのポットにほうじ茶をいれて行くのだが、泊まりがけの旅行になると当然途中での補充が必要になり当然お湯を沸かす必要も出てくる。そのためキャンプ用の鍋とコンロと3Lの水タンクを持参している。自称アウトドア派なのでその辺はぬかりないのだ。
 この旅行の直前になって粉末ほうじ茶なるものの存在を知って急遽ネットで購入した。今まではティーパックを利用したりしながらもその茶殻の処分が必要となっていたのだが、粉末タイプの登場によってこうした旅行途中での補充がかなり楽になった。ちなみに味は普通に葉っぱから入れた方が美味いようだ。
 午後の陽射しを浴びながら春の河原も気持ちよいものであった。その後今宵の宿(車中泊ポイント)御前崎を目指して車を走らせる。途中藤枝市街のそば屋で晩飯。静岡県を中心にチェーンを持つ「鐘庵(しょうあん)」という店で去年の秋に西伊豆に旅行した際に利用してなかなか美味しかったのである。事前に場所やメニューをもチェックしてプリントアウトしてあり、しかも場所をカーナビに入れてルート案内させているので完璧である。最近のカーナビはルート案内が昔のものとは比べものにならないほど進化していて安心して任せられる。今回の旅行も初めてのところがほとんどだったのだが運転の負担がナビによってかなり軽減されたのだ。またミュージックサーバ機能や音声操作機能によりナビ機能にとどまらずカーステ機能全般においても助手席の人間の手を煩わすことなく操作できるのは素晴らしいのだ。ついでにワンセグでテレビまで見られるのだ。
 18時過ぎ鐘庵到着。睡眠中のちび子をたたき起こして入店。ここはなんて言っても「桜エビのかき揚げ」である。場所柄桜エビにはうるさい土地なのだろう、相当気合いの入ったおいしい桜エビ天を出してくる。そしてそれがこの店のウリなのだ。桜エビソバ、桜エビ丼、マグロ丼などなど好き好きにたくさん食べてもリーズナブル。こういう御当地チェーン店も旅行中は嬉しいのだ。なお東京にも1店ほど店舗があるのと使用している桜エビは輸入物であるらしいというのも付け加えておく。でもオススメ。
 その後1時間ほど走って目的地御前崎マリンパーク駐車場に到着。前日に比べ冷え込むこともなく快適にお泊まり。

 翌朝、前日到着が夜だったのでよく分からなかったが広々とした芝生が海辺まで続く気持ちのよい公園で、ポカポカ陽気と相まって移動するのが惜しいような気さえしてくる。発電用のでかい風車がある位なところなので通常風が強いのだろうが本日はほぼ無風。SL列車は新金谷11時58分発なので、時間つぶしに数キロ離れたところにある浜岡原子力発電所に併設された科学館(無料)に行く予定だったのだが滑り台で遊びたいというちび子の懇願により発電所行きは中止。10時過ぎまでここにいることにした。
 滑り台で遊んだり海辺で遊んだりしてすっかり時間は10時半近く。あわてて新金谷へと向かう。途中で渋滞にでもハマったらやばい時間になっていた。途中コンビニで弁当を仕入れて幸い渋滞にもはまらず11時半前には駅到着。
 駅の構内には旧型の客車が数多く留置され、駅舎やホーム施設のボロさとも相まって昭和の匂いがぷんぷん。行き違いでやって来た普通電車も20年位昔に関西の私鉄で使われていた特急車であり映画のセットのように出来すぎなのだ。しかしこれは演出ではなくてただただ古くなってしまって、でもお金がないから更新できないからなのである。そしてこれらをリアルに懐かしいと思える自分もかなり古い人間になってしまったようだ。この光景は昭和50年代には普通にあった光景なのだ。
 しばらくしてやってきたSL列車は昨日より大型のC11型蒸気機関車に牽引された旧型客車4両。機関車付け替え施設がないため始発の金谷駅とここ新金谷駅の間は電気機関車の補機がつくが今日は昨日と違ってSLの馬力に余裕があるからだろう電気機関車はここで切り離され正真正銘SLの力のみで終点千頭駅を目指す。
 乗った車両はニスで塗られた木枠座席の旧型客車オハ35形。もくろみ通り家族3人大人2枚の乗車券で1ボックスを占有した我々は車窓風景を楽しむ。真鍮製の窓開け金具も懐かしいそもそも電車の窓を開けるという行為自体過去のものとなっている今日(こんにち)であるが、窓を開ければポカポカ陽気の気持ちよい風が入ってくる。先頭車両に乗ったので窓を開けると機関車のシュッポシュッポという音がよく聞こえSL気分も盛り上がる。また速度も遅いので入ってくる風が強すぎて不快ということもない。この遅い速度がちび子の脳味噌の画像処理能力ともマッチしているのだろう、普段は車窓風景を眺めることなどないちび子が外などを見て喜んでいる。実際に幼児の視野は大人のそれと比べ格段に狭いと言われ、高速で走る乗り物から見た車窓風景などはわけの分からぬままに流れすぎてしまう退屈なものなのかもしれない。しかしこのスピードならちび子にも遠近共々よく見えるのだろう。
 もう4月9日、例年ならこの辺の桜はとっくに散っているはずである。特に今年は暖冬だった。しかし桜の開花に最も影響のでるつぼみの時期に寒の戻りがあって、さらに開花後も寒い日が続き雨風もなかったため東京あたりでも花が終わるまでの期間が記録的長かったらしくこの地に於いてもまだ桜の花が満開状態なのだ。この分だとこの旅行を終え長野に帰ると長野の桜が満開になっていると思われる。
 75分の道中、ちび子が退屈になって騒ぎ出すことを予期していたのだがそういった気配もなく、また事前にネットで車内の便所は閉鎖されているとの情報を得ていたのだが4両中2両の便所は使えるということでそっちの方の心配もなくなって車内での弁当やはっさくも美味しく食べられた。ウンコが出来ないところでものを食べるのは心配な性分なのだ。一部客車の便所をタンク式に改造したのかな?
 終点到着後は記念撮影をして駅周辺散策後、橋を渡って川向こうでピンクの花をたくさん咲かせる枝垂れ桜並木のある河川敷へと降りしばしおやつ&川遊びタイム。
 終点千頭駅13時12分着、折り返し15時23分発という2時間強の滞在時間はあっという間に過ぎ帰りの汽車に乗る時間が来た。同じ編成なので4両だが行きよりも車内は空いていたのだがどいうわけか団体さんと同じ混んでいる車両に詰め込まれワンボックス占有できたものの騒々しいので窓口で車両を変えてもらった。先頭1号車は団体客と個人客でかなり混雑。2号車3号車は乗客無し。4号車は乗客ちらほら。最初はあまりにも空いているので1号車にすべて乗客を集めて後ろ3両締め切り扱いにでもするのかと思ったら4号車にも乗客はいたのでそうでもないらしいと思い窓口へと出向いたのだが、駅員さんも気持ちよくガラガラの4号車へと変更してくれた。2号車3号車には途中の家山駅から団体が大勢乗ってきた。騒々しいけど大井川鉄道を支えているのはあきらかにこれら団体客でありこれがなくなったらSLも大井川鉄道という会社自体も存続が危ういのではないかと思われるので「我々がこうして楽しく乗車できるのもみなさまのおかげです」と離れた車両で感謝するのであった。
 16時40分頃かなり後ろ髪引かれつつ汽車を降りた。かなりよかった・・というのが率直な感想であった。
 駅の駐車場に戻ると今宵の車中泊ポイント伊良湖岬へと向かう。今夜のお食事も鐘庵。昨日とは別の店舗でこちらは東名高速の PA内に出来た店舗である。いくら美味しいからと言って2日も続ける必要はなかったのだけれどこのあと走るルート上にお食事どころがあるかどうか不安であったのと更に空腹になると不機嫌になる者が2名も乗っていたので「食えるときに食う」ということで時間的にやや早かったが晩飯となった。
 その後伊良湖岬までは約2時間半もかかった。当初予定では掛川にある「つま恋」というネットで評判のよかった温泉に立ち寄るはずだったのだが寝るのが遅くなるということで中止になり今夜も風呂省略となった。
 伊良湖岬ではフェリー乗り場に隣接した道の駅に車を停めるはずだったのだが間違えてフェリー乗り場の駐車場(トイレ脇)に車を停めてしまったがむしろ正解でこちらの方が寝るには適していた。車中泊は車を置く場所で一夜の快適さがずいぶんと違ってくるので場所の選定には気を遣うのである。

 起床後残ガスが少なくなったガスカートリッジにカツを入れながらようやくお湯を沸かしお茶を入れたのだが水がやたら消毒臭かったようでできたお茶を口にしたところ消毒臭いお茶でとても不味くて飲めたもんじゃない。お茶も水もすべて廃棄処分となった。昨日御前崎マリンパークのトイレ横で汲んだ水がやたらと消毒臭かったのだ。海辺の公園などの手洗い場の水道は水質が良くないことが多々あるので気をつけたいのだ。
 朝8時10分の始発便に乗って所要55分。対岸の鳥羽へと到着。途中イルカの群とも遭遇したのだが特に船内案内放送もなく発見したのは我々のみ。船内ポスターでイルカを探そうなんて貼ってあるのだからちょっと放送で教えてあげてもいいのではないかとも思う。むかし沖縄の座間味島へ行ったときは船底の2等室で寝っころがっていたら、急に「ザトウクジラが泳いでいます」って放送して船を停めてしまいしばしの間クジラ見物サービスをしてくれたものだった。
 鳥羽到着後はじめて鳥羽水族館へ行く旨をちび子に伝える。もう事前通告はしないのだ。評判通りのなかなか規模の大きな良い水族館で平日午前中とあって海獣のショーや水槽もゆっくりと見られた。特にセイウチのクーちゃんポーちゃんのショーはおもしろいのでお見逃しなく。
 また展示水槽の中にはゲンゴロウを飼育しているものもあったのが感激であった。
 3時間ほど見物して退園。もう少し居てもよかったのだがランチタイムとなってしまい館内の高くて不味そうなレストランでなく事前に調べた鳥羽市内の食堂で昼食にしようということでそこへと向かった。
 昼食後はお伊勢参り。由緒正しく外宮から参拝するのだ。そして内宮へ。あまり人のいなかった外宮と違いけっこうな人出。五十鈴川沿いの桜も咲き誇っていていい雰囲気。参道のおはらい通りではお目当てだったがま口の財布を購入。けっこうなお値段の3段入れ子式のがま口財布なのだがたまたま気に入った柄のものが展示品しかなくそれを1割引で購入できたのはお得だったのかどうなのか微妙なところでもあった。できれば展示品じゃない方がよかった気もする。
 内宮は式年遷宮祭を数年後に控え宇治橋の架け替えが行われておりメインの鳥居から入ることが出来ず鳥居の脇から架設橋を渡っての入場となる。境内はけっこう広くやっとこ参拝を済ませると一路赤福へ。製造年月日詐称で告発された赤福も以前の活況を取り戻していて賑わっている。店内の畳の上でお茶を飲みながら赤福を頬ばる。お伊勢参りの楽しみである。そこから駐車場までは五十鈴川に沿って桜並木の中を歩く。あまりに気持ちいいのでここを離れがたい気分だ。ちび子がダラダラとしているのでそれに乗じてダラダラとしてなかなか車へ戻ろうとはせず結構な時間を要してしまった。
 このあとは多気へと車を走らせ最近出来たという温泉浴場に行き入浴&晩飯、その後高速道路の勢和多気ICより伊勢道を再び伊勢方面へと向かい多気PAで車中泊となる。車中泊するために高速道路に乗るようなものである。
 カーナビの指示に従い渋滞を避けながら走ること1時間弱、目的地の多気の湯へ到着。これまた事前にネットで発見した温泉でまだ出来てから日が浅く設備も綺麗で広い。特に露天風呂が広々していて気持ちいい。ずいぶんと長湯してしまったのだが女共はそれ以上に長湯でかれこれ1時間も入浴していやがった。それはいいのだがどうやら風呂場で親子喧嘩でもしたらしく険悪な雰囲気ででてきた。まったく風呂で喧嘩なんかしやがって・・と思いながらも翌日の風呂屋では自分がとなりのオヤジとつまらぬ小競り合いを繰り広げることになる。その後館内で食事をとも思ったのだが、メニューがイマイチなので隣にあったモスバーガーへ行くことにした。
 多気PAは便所とジュースの自販機があるくらいの小さなパーキングエリアで伊勢道の最末端部にあるPAなのでトラックの宿泊などもないので騒音もなく静かに眠れる。高速道路のPA、SAで寝るときは場所を吟味しないと車中泊トラックのアイドリング騒音に一晩中悩まされることとなるのだ。特に冷蔵トラックは騒音が激しい。

 翌日は土曜日。例の1000円乗り放題の影響であろう、伊勢志摩方面へ向かう車の最終休憩ポイントとなる当PAは早朝からけっこうな流量となった。ちょっとそこまでは気が回らなかった。静かな朝を迎えるはずだったのだがちょっと予定外の展開となった。しかしそんなことはあまり気にとめずマイペースで朝の支度を済ませると8時頃の出発となった。
 昨日お世話になった鳥羽水族館を横目にパールロードを進む。最近までは有料道路だったらしいのだが現在は全線無料となっていてありがたい。2〜3日前にたくさん走った静岡県の各所にある国道1号バイパスも20年くらい前はみんな有料道路だったのが施設費の回収が終了してどこも無料となっていた。
 パールロードでは観光バスの後ろを追いかけて走ることとなったのだがその観光バスが地元の「川中島バス」どうやら農協の旅行っぽい。パールロードの途中には有名な鳥羽展望台というところがあって、我々も一応立ち寄ったのだが川バスももちろん立ち寄っていて久々に長野のおとっつあん、おかっつあんの顔を拝んだのであった。真性の田舎もん集団だなあ・・・
 川バスと別れ賢島方面を目指す。途中ジャスコに立ち寄って弁当とカップ麺を調達して志摩半島のどこかロケーションの良さげな海辺でランチにしようという魂胆なのだ。あまりに陽気がよいので外に出ていたいのだ。食料調達後は海岸線沿いの国道を走るのだがなかなか良いランチスポットが見つからない。海に面したパーキングスペースがあると助かるのだ。シーズンオフの海水浴場の駐車場なんかがベストなのだがそもそも海水浴場というものがこの辺の海には無いようなのだ。
 カーナビに時々出てくるトイレマークを頼りに国道をはずれて脇道に入ったりするがなかなか良いところが見つからなく彷徨っていたのだが11時半頃になってようやく国道からはずれて突き出た半島の途中にちいさな有料駐車場とトイレを見つけた。
 駐車場のすぐ横は綺麗な砂利浜の海岸が広がっていた。この際有料でも構わぬと車を停めたが料金所らしきは見あたらず、通りがかりの地元のオババに訪ねると町の駐車場で夏場は海水浴場として金を取っているらしいがそれ以外は放置だという。少しの時間なら全然大丈夫だよという心強いお言葉をいただいてそこに駐車して海辺でランチすることに決定した。町の駐車場なら安心だ。これが私有地となると少し事情が違ってくるから。
 砂利浜の海岸は全く日陰がないのだが真夏ではないので我慢は出来る。お湯を沸かしてカップ麺を入れて更に弁当を開く。すべては予定通りで弁当もうまい。食後は波打ち際で裸足になってじゃぶじゃぶと水遊びだ。
 荷物を浜に残したまま3人でじゃぶじゃぶと夢中になって遊んでいたらまたしてもやられてしまったのだ。無人となった荷物はカラスの襲撃を受け、予備にとっておいた未開封のカップ麺1個はみごとに略奪された。連中はパッケージを見れば中身が分かるのだ。全く同じ経験を数年前ちび子がまだ生まれる前に我々は奄美大島で経験しており、その時は未開封ポテトチップを略奪されてしまったのだ。悔しいのだが金品などを略奪されずに助かった。連中は好奇心から光るものや意外なものにまで手を(クチバシ?)を出すので油断できない。
 2時間半の滞在後、次なる場所へ車を走らせる。次なる場所といっても特に決まっておらず景色を見ながら決めるのだ。
 40分ほど走り国道42号との合流地点である紀伊長島も近づいてきた頃に「トピカルパーク」なる看板を見つけそこへ向かった。到着はもう15時頃であったがこれもまた居心地のよさそうな人工海岸と公園であった。
 当初予定では尾鷲まで南下して尾鷲の温泉入浴後折り返し北上し毎年遊びに行く紀北町にある海鮮食堂で晩飯・・・だったのだが、予定は変更。夕方までこの浜辺で遊んで紀北町の海鮮食堂へ直行、その後紀伊長島界隈の温泉浴場で入浴・・・ということになった。
 まずは管理棟にある売店でアイスを買っておやつタイムだ。浜辺では捨ててあった手網を拾ってアメフラシやヤドカリを捕まえた。水族館に行くと海辺の小動物を触ることのできるコーナーがあることが多く、ちび子も喜ぶのだが親としては自然環境下で小動物を捕まえて触らせてやりたいのだ。
 なんだかんだでここでも2時間滞在、出発は17時を回った。夕食はそこから45分、紀北町にある海鮮食堂「かい鮮や」。2年ほど前まで観光客相手鮮魚市場の中にあった食堂の経営者が観光客相手鮮魚市場がつぶれてしまった後に場所を変えて個人経営の食堂としてオープンしたのもので観光客相手鮮魚市場の食堂にはよく行ったので市場ごとなくなってしまった時はがっかりしたが場所を変えて営業再開したと知ったときは感激したものだった。刺身定食などを御馳走になった後は高速道路大宮大台ICにほど近い道の駅「奥伊勢木つつ木館」へ向かう。途中「阿曽温泉」でひとっ風呂浴びて道の駅「奥伊勢木つつ木館」には20時45分に到着。ベッドメイキングをして素早く就寝。ゆっくり寝られる車というのも便利なものだ。

 翌朝は8時に撤収出発。今日はひたすら高速道路で長野へと帰るのみだ。帰路飲むお茶を沸かしたかったのだがこの駐車場での湯沸かしはためらわれた。そうしたところすぐ向かいに広い公園があってそこの駐車場が人気(ひとけ)もなくて湯沸かしにはいいロケーションであったため「出発」後約1分で車は停車した。
 その公園もなかなか気持ちの良い公園ですかさずちび子が遊びたいと言うのでお茶を入れた後しばらくそこで遊ばしてやることにした。40分ほどして今度は本当に出発。すぐに大宮大台ICから高速道路に入ると後は長野へまっしぐら昼食を挟んで姨捨へ戻ってきたのは14時50分であった。いやはや疲れた。
 経費節約の甲斐もあって5泊6日で総費用75000円。一家3人の旅行としては破格であったが、充分に楽しませていただいた。これからの時期旅行回数が多くなるので1回の旅行に何十万円もかけていられないのだ。