あせる
12月にはいるとなぜか人々はあせる。先生も走るという師走であるからにして世の中慌ただしくなるのは世の習わしではあるのだが、なにか必要のないところでまで慌ただしくなってしまうのだ。
・・と、あたかも他人事のように書いてしまったのだが自分もしっかり焦りまくってしまっているのだ。
我が家に灯油缶(18Lポリタン)は3缶ある。しな子が会社を辞めてから毎日家にいるので消費量が若干増えているのだが1週間で1缶が目安だ。ということは満タン状態で3週間+ストーブ内タンク容量分の石油備蓄があるわけなのだが、年の瀬を控えて1缶でも空になってしまうと焦ってその1缶分を買いに行ってしまうのだ。
すなわち常に満タン状態でないと心配なのだ。なんだか正月に石油の備蓄を切らしてしまい新年早々一家で凍死・・・などという悪夢を見てしまうのだ。
しかし仮に新年早々石油備蓄を切らしてしまっても近所のセルフスタンドは年中無休24時間営業なのだ。金さえあれば凍える心配はないはずなのだ。
金といえば年を越すにあたり手持ちの現金もいつもより多めにないと心配だ。最低でも大晦日の時点で10万円は手元にないと無事に年が越せないような錯覚に陥ってしまう。年末年始はATMが休止なのだ。
しかしATMは何日間休止なのだろうか。1ヶ月くらい止まっているのであろうか。んなわけない。
食糧備蓄についても然り。冷蔵庫がいっぱいになるくらい食料を買い込まなければ不安だ。大晦日から三が日くらいまで献立メニューを計画しそれに必要な食材をすべて買いだめするのだ。お菓子や飲み物も多めのストックが必要だ。年が越せなくなってしまう。
だが、スーパーは2日から営業するところが多い。休みなのは元旦だけだコンビニに至っては年中無休24時間営業だ。今年からは近所の西友も元旦から営業になった。それでも正月は買い物ができないという30年くらい昔の記憶がいまだに抜けないのだ。だから理屈では正月でも特別気張ることなく普段通りの生活でよいと分かっていても体は買い物を拒否してしまうのだ。
その理論から行けば前述の「多めの現金保有」などはまったく矛盾する行為なのだが、理屈ではないのだ、とにかく年末年始は手元にいろいろなものが多めにないと不安なのだ。
それとやはり年越しは「冬である」というのも大きく影響しているであろう。昔話などを見ても分かるが昔は冬を越すためにいろいろな食材を工夫して保存したものだ。冬場は作物が採れない、雪に閉ざされる、海が荒れる、などと言った理由で食料調達が困難になり、それこそ一冬分の食料を蓄えていたものなのだ。漬け物や干物などはよい例であろう。
保存技術や流通が発達し、全世界中から旬の食材がいつでも手に入るようになった現在社会においても、そのDNAは引き継がれ今日に至っているのだろう。
そしてそのDNAを有している同士はこの世にたくさんいるようで年の瀬になるといろいろな店が混雑する。30、31日のA・COOP(農協系スーパー)などは駐車場の整理係がでてくるくらいの大混雑なのだ。みな私と同じように不安に駆られているのだろう。
年の瀬強迫観念は物品購入だけでは済まされない。メンタル面でも人々を圧迫してくる。年内に○○をしなければならない・・こういうものが増えてくる。
大掃除などが典型的であるが大掃除に関してはこの期を逃すとまた1年(普段しないようなところの)掃除をしなくなってしまい2年分の汚れが溜まってしまうという実状があり、「ふんぎりをつける」という意味で区切りがよいので気持ちは分かるのだが、それ以外の部分でも「なにもこの時期無理してやらなくても・・」というようなものまで「年内に済ましてしまおう」という意識が働く。
別に正月にまたがって何かをしてもいいような気がするのだが我々の潜在意識の中でそれを許さないのだ。集金などはこの時期特に取り立てが厳しくなる。別に1週間遅れて1月4日の支払いでもよさそうなものなのだが。
そういったわけで世の中が慌ただしくなる。 各所で今年1年の精算が行われ、精算しきれなかった人々が自殺をしたりする。この時期電車の人身事故も多い。なにも何の関係もない運転士さんに迷惑をかけなくてもよさそうなものなのだが、迷惑をかけてくれる人が後を絶たない。しなちく氏は困った。
さて、信濃千曲川通信社ではどんな年越しになるのであろうか。
まず大晦日年越しそば用の蕎麦セットは欠かせない。天ぷらも少しつけたい。しなちく家では年越しそばは「ざる」というのが古く平安時代から(うそ)の習わしだ。よって薬味もしっかりつけたい。
大晦日の晩御飯は少しゴージャスにいきたい。そして紅白をはじめとするテレビ視聴用?のつまみも必携だ。テレビ視聴用のつまみは正月三が日分必要になる。それも普段より幾分値の張るつまみも許されよう。「プリッツ」でなく「ポッキー」がおごられるのが許されるのもこの時期ならではである。しかしアーモンドクラッシュポッキーなどという大それたマネは正月といえども許されない。
元旦は「おせち」である。まあ信濃千曲川通信社の場合、あくまで雰囲気を・・ということで紅白カマボコやお雑煮、栗きんとん、伊達巻き、コブシメ、・・ちょっと頑張ってイクラなどを買って昼のおかずに加えられる。
元旦の夜からはいきなり「作り置き系」が多くなることが予想される。今年は年越し用に豚汁を大量に作るというのが、しなちく会議で可決されている。正月は豚汁で明け、豚汁で暮れるというのが早くも予期されるのだ。
食糧備蓄に於いてはこれらメニューをすべてこなすだけの食材調達が必要とされている。
石油備蓄に於いても31日時点でストーブ内タンクおよびポリタンクすべて満タンは必須であるの前述したとおり。車のガソリンも満タンにしておかなければ。
デジカメやひげ剃りの充電池もフル充電しておく必要があろう。
年を越すというのは大変なのだ。このエッセイが公開される頃、信濃千曲川通信社は安心で安定した「よい正月」を迎えられているのであろうか、あせるなあ・・・